独り言 ― 2008年02月24日 09:00
けんつく床
今でこそ美人のお姉さんが髪を切ってくれるようになりましたが、一昔前の床屋さんといえば、何となく不機嫌そうなおやじさんが、黙々と髪を切る、そんな趣がございました。これはそんな時代のお噺でございます。
「おう、ちょっとばかり髪を切っとくれ!」 「切らねぇ」 「えっ?」 「おまえさんの言い分が気にくわないから、切らないと言ってんだ。だいたい、なんだい。『ちょっとばかり髪を切っとくれ』だと? ちょっとでいいなら、床屋何ぞに来るんじゃない。自分で切れ」
なんてお客を突っ返すような頑固なおやじさんがおられました。
そんな床屋さんに、家を勘当された若旦那がふらりと入ってきた。おやじさんは、この種のちゃらちゃらした人間が大嫌い。見習い中の小僧さんに任せます。
小僧さんは、生まれて初めて髪を切る期待と不安でハサミを持つ手も震え、ついつい切りすぎてみたりするわけで……。
「ちょっと、ちょっと大丈夫? なんか切りすぎてない? 痛い、ちょっと痛いよ。そんなに引っ張ったりして……、あ、痛。おやっさん、本当に大丈夫? 血とか出てないかい?」
そんな若旦那をおやっさんは、ちらりと一瞥して
「なーに、心配しなさんな。縫うほどじゃない」
お後がよろしいようで <(-o-)>
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